投資型(本部運営代行型)フランチャイズのメリット・デメリット
近年、親子教室ベビーパーク、古民家るうふ、焼肉ふたごFIPモデルといった企業が展開する投資型フランチャイズ、本部運営代行型フランチャイズモデルが注目されています。弊社の子会社でも古民家るうふは加盟店として山梨県大月市で出店しておりましたし(子会社譲渡済)、ベビーパークは現在2教室の共同オーナーでもあり、私自身はフランチャイズ本部がしっかりとしていれば大変魅力なフランチャイズだと考えております。
この投資型、本部運営代行型のフランチャイズのビジネスモデルでは、フランチャイズ本部が加盟店に代わって店舗運営を行い、加盟店オーナーは原則手を動かすことがありませんので、純粋な投資家に近い立場となります。以下では、フランチャイズ本部と加盟店の両者の視点から、メリットとデメリットについて見ていきます。
フランチャイズ本部側から見たメリット
本部から見たメリットとしては、フランチャイズという形態をとりながら、レギュラーチェーン(直営チェーン)とほぼ同じ運営を行えるという点です。具体的に見ていきますと、大きくは以下の3つとなります。
- 品質管理の徹底:加盟店店舗でありながら、本部からすると全店舗が疑似的な直営店であり、直接管理下にあるため、品質管理が徹底されます。これにより、全店舗で高水準のサービスを提供できます。結果として、ブランドイメージの統一がより行いやすくなります。
- 迅速な意思決定:経営方針や戦略の変更を迅速に実行できます。本部が一元的に管理しているため、必要な変更や改善をより素早く実施できます。
- 効率的な運営:一元管理により、仕入れや物流、マーケティングなどの業務をより効率化できます。大規模な一括購入によりコスト削減が可能となり、各店舗への商品供給もスムーズに行えます。
フランチャイズ本部側から見たデメリット
本部から見たデメリットとしては、一般的なフランチャイズであればリスク分散、加盟店の経営資源の活用によってスピーディーにスケールする仕組みでありますが、投資型(本部運営代行型)フランチャイズは本部の責任やリスクは高まります。とりわけ人材面においては、レギュラーチェーンと同様に人材を抱える必要があり、また現場レベルまでの人材を育成する機能を持つ必要があります。
- リスクと責任の集中:加盟店店舗の運営を本部が直接行うため、運営に関するリスクと責任が本部に集中します。従業員の管理や店舗運営における問題が発生した場合、その対応は当然本部が行い、責任も本部が負うことになります。
- コストの増加:運営代行する加盟店店舗に必要な人材を揃え、その育成機能や各種システムの維持・管理はレギュラーチェーンと同等にコストがかかります。例えば、人材面であれば、本部が加盟店に代わって人材を雇用、育成する、もしくは採用業務と人材育成業務の代行を行うケースが多いため、投資型(本部運営代行型)のフランチャイズ展開を行う本部は強い採用力と高い人材育成力、それらを賄うコストがかかります。
- 遠隔地出店が困難:一般的なフランチャイズであれば、その地域を知っている優良企業に運営を任せることができますので、本部本社や既存店から離れていても出店が可能です。しかしながら、投資型(本部運営代行型)は直営展開と同じですので、いきなり遠隔地に1店舗だけ出店することは非効率となります。また、その土地の地域性もありますので、既存の成功パターンが通用しない場合は、地域性を学習する時間が必要となります。そのような点で通常のフランチャイズと比較すると遠隔地での出店スピードは鈍る可能性があります。
加盟店側から見たメリット
- 運営負担の軽減:店舗運営を本部が代行することで、加盟店オーナーは運営に関する煩雑な業務から解放されます。これにより、会社勤めのオーナー、未経験のオーナーや多忙なオーナーにとって大きなメリットとなります。例えば、日々の店舗運営やスタッフの管理を本部に任せることで、オーナーは本業の経営や他の投資案件に集中することができます。
- 高い成功確率:フランチャイズ業態のプロである本部が加盟店店舗の運営を行うことで、その加盟店店舗の成功の可能性が高いことが期待できます。また、加盟店店舗の業績にかかわらず、加盟店へ一定の売上や利益を約束するフランチャイズ本部もあります。
- 人材面の悩みからの解放: 投資型(本部運営代行型)フランチャイズの場合、本部が加盟店に代わって人材を雇用、育成する、もしくは採用業務と人材育成業務の代行を行うことが多いです。そのため加盟店からすると雇用リスクや煩雑な人材マネジメントから解放されます。昨今、人材不足で採用に苦戦している企業が多いため、加盟店に代わって人材を採用育成する投資型(本部運営代行型)フランチャイズの場合、加盟店にとって大きなメリットです。
加盟店側から見たデメリット
- 成長機会の喪失:一般的なフランチャイズの場合、加盟店は本部からその業態の経営ノウハウを学び、サポートを受けつつ、加盟店自らが店舗経営を行います。加盟店は店舗運営を通じて、試行錯誤、実践を積んでいくわけですのでフランチャイズ加盟を通じて経営について学びことができます。次期社長予定の2代目3代目に創業体験を積ませることを目的にフランチャイズ加盟される創業社長もいます。しかしながら、投資型(本部運営代行型)フランチャイズの場合は、基本的に本部任せ(それがメリット)のため、加盟店が得られる店舗運営のノウハウ等や独自のアイデアや施策の実行など加盟店の自主性を発揮する機会は期待できません。
- 低収益性の可能性:投資型(本部運営代行型)フランチャイズ本部に加盟店の運営を委託するため、その分、通常のフランチャイズより多くの手数料や管理費が発生します。これにより、通常のフランチャイズよりは利益率が低くなり、回収期間が長い傾向があります。
- 本部への依存度の高さ:本部の運営能力に依存するため、加盟店の店舗運営の自助努力が行えず、本部の経営状況や方針の変更に大きく影響を受けます。本部の経営不振によって自社店舗の売上利益に対するマイナスの影響や最悪のケースは本部の倒産リスクも考慮しなければなりません。
まとめ
投資型フランチャイズモデル(本部運営代行型フランチャイズ)は、フランチャイズ本部と加盟店の双方に多くのメリットを提供しますが、それぞれにビジネスモデル特有のリスクやデメリットも伴います。
フランチャイズ本部が投資型(本部運営代行型)モデルは、昨今のフランチャイズ業界で増えてきている印象ですが、本部と加盟店で収益を分配しますので、利益率が高い業態でないと成り立たせることが難しく(モデルを作ったとしても、魅力的な収益が期待できないため加盟店が集まらない)、また、とりわけ人材の採用力と育成力を持っていないと加盟契約したものの、なかなか出店できない、出店しても常時人材不足に悩まされる等、そもそも投資型(本部運営代行型)モデルを導入しないようが良かったと思える状態になるかもしれません。
フランチャイズ本部が投資型(本部運営代行型)モデルは、加盟検討者からのウケが良く、加盟店募集が捗りますが、上記を念頭に本部体制をしっかりと整える必要があります。同様に加盟希望者にフランチャイズ本部が投資型(本部運営代行型)モデルだからといって飛びつくのでなく、そのフランチャイズ本部がしっかりと加盟店店舗の運営代行を継続して行えるかどうかを見極める必要があります。
フランチャイズ本部が投資型(本部運営代行型)に関する相談は、お気軽にフランチャイズ支援のクリプロまで、どうぞ!
(2024年5月29日)