フランチャイズ

2019.04.1

多様なフランチャイズパッケージの形

フランチャイズ本部向け

フランチャイズは、加盟店が加盟金やロイヤルティを本部に支払い、本部より商標の貸与、そのビジネスの運営のノウハウ、指導、必要物の提供などサポートを受け、加盟店の責任のもと、加盟店の経営資源(ヒト・モノ・カネ)で経営する形態が基本となりますが、その基本形とは異なる形態も多く見受けられます。

フランチャイズのパッケージを設計するうえで、本部はフランチャイズの仕組みを使って何を解決したいのか、逆に加盟検討者から見て何が魅力的なのかを考えてパッケージづくりを行うと良いでしょう。

 

①業務特化型
運送、ビルメンテナンス、ハウスクリーニングなどのフランチャイズ業態に見受けられます。
フランチャイズ本部への仕事の依頼が多く対応しきれず、その仕事を行える人材さえいれば、より事業拡大できる、そのような状態の本部に有効です。

本部からすると、人材不足の解消、労働力の確保となり、一方、加盟店からすると、例えば、運送業態ですと本部が受注したものを加盟店は配達のみの業務といったように、加盟店にとって開業当初難しい集客活動・営業活動の必要が無い、集客・営業の工数が少ないという利点があります。

特徴としては、オーナーが現場で働くことを前提とした個人向けのフランチャイズが多く見受けられ、加盟金が無料もしくは低額であることが多いようです。

ところで、逆に加盟店が顧客獲得の営業だけを行い、それ以降のサービス提供を本部が行うという形態があり、実質、代理店と変わりません。衣類クリーニング(営業店)、建築資材、フリーペーパー、通信など多岐に渡ります。

本部は加盟店によって全国に販売網を築け、加盟店は自社で商品開発する必要なく、本部との取り決めにもよりますが、在庫リスク無く身軽にビジネスが行えるメリットがあります。

 

②設備投資型
コインランドリー、外貨両替機、貸コンテナ(トランクルーム)などの業態に多く見受けられます。
加盟店の役割は基本的には設備に投資するだけで、運営管理を本部等が行う形態です。
フランチャイズという契約形態はとっていますが、事業というよりは投資に近い形態です。

本部からすると短期間に多店舗(設備)展開を目指すと莫大な資金が必要となりますが、そこを解決でき、一方、加盟店からするとオーナー自らが動かず、また雇用リスクも生じないというメリットがあります。

また中小企業投資促進税制を活用して即時償却できるようにすると節税のメリットも加盟店に訴求できますのでより魅力的なフランチャイズパッケージになると思います。

 

③運営代行型
教育、障害福祉、フィットネス、貴金属買取、美容などの業態に見受けられます。
このモデルは加盟店が店舗運営の全部または一部を本部に業務委託する形態です。
運営を全部任せるパターンは、設備投資型の店舗ビジネス版と言えます。

この形態も設備投資型と同じく、本部が直営をスピーディーに多店舗展開しようとすると、出店コストが多大となりますので、その資金面の解決しつつ、一方加盟店からすると店舗運営の労力や雇用リスクから解放されるメリットがあります。

但し、この運営代行型は、加盟店に利益を分配するため利益率の高い業態でないと成り立ちませんし、また、店舗運営における本部の責任度合いが非常に高いため、運営代行型を行うのであれば、本部に店舗運営に絶対の自信と実績がないとお勧めできません。

 

④のれん分け型
飲食、美容室、ホテルなどの業態で見受けられます。
正社員として入社させ、一定の修行期間を経て、社内の基準を満たした社員をフランチャイズ店オーナーとして独立開業させるモデルです。

本部は加盟店の能力や人柄をより把握できており、加盟店も業務を習熟していることから、加盟店を公募するフランチャイズに比べて立ち上がりもスムーズでしょう。

また、のれん分け(社内独立制度)を採用している本部では、独立する社員へ開業費の援助や貸付を行うことが多いため、初期費用の軽減も加盟店からすると魅力的ですが、元社員と言えども独立した事業主になりますので、適切なコミュニケーションを行うことが大切です。

フランチャイズのパッケージと言っても、本部の考え方や業態によって、設計が変わってきますので、まずは自社の強み、解決したい課題、また加盟店から見た魅力な点などを考えてから設計に入ると良いフランチャイズパッケージができると思います。

(そもそも、業態や多店舗展開していくうえでの考え方、方針によっては、フランチャイズではなく、ライセンスや開業コンサルといった形のパッケージが適していることもありますので、まずはお気軽にご相談ください。)